日本情動学会トップページ

訃報

日本情動学会を立ち上げられた小野武年先生(富山医科薬科大学名誉教授・日本情動学会名誉理事長)が2022年12月15日に逝去されました。なお葬儀は家族葬で執り行われました。

ここに謹んで小野武年先生のご冥福をお祈り申し上げます。

学会に関するお知らせ

有光興記（監修）飯田沙依亜、榊原良太、手塚洋介（編著）
『感情制御ハンドブック』
北大路書房

　北大路書房から『感情制御ハンドブック』が刊行されました。若手研究者を中心に、現在第一線で活躍されている方々の執筆による感情制御に関わる幅広い分野の研究を網羅したハンドブックです。３１章からなり、感情制御の基礎から始まり、社会、人格、認知、発達、臨床、教育、感情制御の展開の８部で構成されています。「社会」の部では、感情制御の文化差、対人関係や対人コミュニケーションにおける感情制御や感情理解、集団間の葛藤における感情制御が取り上げられています。「認知」の部では、作業記憶、認知トレーニング、注意機能と感情制御の関係が、「発達」の部では、乳児期から老年期に至る期間で個人に関わる様々な感情制御の問題（例えば、幼児期のアタッチメント、思春期のストレス、感情制御の加齢に伴う変化）が取り上げられています。臨床的な話題に関しては、「人格」の部で共感性や衝動性に加えて、情動制御のプロセスモデルをもとに自他の情動を知覚し、理解し、調整する情動知能の概念が紹介され、「臨床」の部では、精神病理、精神分析、心理療法がまとめられています。さらに、「教育」の部では、学習者が主体的に取り組む自己調整学習における動機付けやセルフコントロールについて、一方、先延ばしによる自尊感情の変化や不安感情の制御、そして、いじめと過剰適応が、そして最後の「展開」の部では、消費行動、災害、量刑判断に加えて、依存症との関係、競技スポーツにおけるメンタルトレーニングや職場でのメンタルヘルスなどが説明されています。
このように、本書で取り上げられている内容は、感情そのものに関わるものはもちろん、その様々な応用分野まで、幅広い分野の研究が個々の章で解説され、400ページを越える内容となっています。ただ、ハンドブックということで、各章の内容が１０ページ程度で簡潔にまとめられているため、詳しく知りたい読者にとってはやや不満が残るかも知れません。しかし、巻末に内外の重要な文献が多数掲載されており、これを参照することにより、さらに詳しく必要な事柄を理解することができるようになっています。
本書を一瞥すると、われわれの生活の様々な場面での感情の上手な制御がいかに大事であるか、また、その不全により個人はもとより集団や社会にどのような幅広い問題を生じさせるかが理解されます。このような事柄は、日本情動学会が発足から一貫して取り上げてきた内容と一致しています。日本情動学会では、発足以来、情動の基礎科学的側面ばかりではなく、従来基礎科学系の学会では取り上げられなかった教育的側面、社会的側面、臨床的側面に注目し、このような側面の研究や啓発の重要性を指摘してきました。学会でのシンポジウムでも、育児における赤ちゃんや母親の情動、いじめ、虐待、非行と情動の関係、マインドフルネス、情動教育などを取り上げて議論をしてきました。また、一般演題でも多分野の参加者によるこのような内容の議論を進めてきました。日本情動学会が進めてきた活動の方向と本書の意図や内容に共通する部分が数多く含まれていると同時に、今後学会として注目すべき方向の示唆も多く得られる内容となっています。
本書は、日本情動学会の会員はもとより、学会に関係する人たちが一度は目にすべき多くの内容が含まれていますので、手もとに置いておくと良いと思います。同時に、感情とはどういうものか、感情が私たちの生活にどのように関わっているかに興味のある人も是非手にとってみるといいと思います。

船橋新太郎（京都大学　名誉教授）

【北大路書房HP】
https://www.kitaohji.com/book/b598865.html
【Amazon】
https://www.amazon.co.jp/dp/4762831824/

2015.6.3 NHKハートフォーラム「境界性パーソナリティ障害フォーラム」のお知らせを追加しました。

2015.6.3 第5回大会の開催日程等についてのお知らせを追加しました。

2015.6.3 ホームページをリニューアルしました。

日本情動学会のホームページです

訃報

学会に関するお知らせ

最新情報＆更新情報

刊行物のお知らせ

メニュー

賛助会員